『IWABLO』

どんっ!と構える岩のように

世の中捨てたもんじゃないよって話【高校時、登校編】

こんにちは。多忙で充実した毎日を送っております。その為ブログ活動はしょんぼりでございます…

 

さて前回は高校時代の下校中に起きた悲劇を紹介しました。『自分も経験ありますよ!』という何名かの"被害者の会、同志"のみなさま方、コメントありがとうございました。

気を新たに今回は登校編をお届けします。

 

残念ながら軽トラと激突するようなスリリングな展開ではなくて、人のあたたかさに触れた少し真面目なエピソードを紹介したいと思います。

前々からこのブログを読んでいただいている方ならご存じかもしれませんが、僕は高校球児としてグラウンドで汗を垂れ流しまくった高校生活を送っていました。高校野球に有りがちな上下の関係はもちろんありまして、特に挨拶などはとても厳しく指導されていましたし、そもそも学校の校則なども厳しかったです。

校則を守らないとペナルティを課せられ、バツが3つになってしまうと武道館で正座することになってしまうんです。

1時間ですよ…  足の痺れMAXですよ・・・

立ち上がるまでに時間を要するんです。

ハイジが立ったぁ~♪ぐらいの嬉しさですよ。

余談はさておき、授業終わりから"正座の刑"が執行となってしまうので、当然ながら部活動への影響も出てきてしまいます。

部活動に出れなくなってしまうと、ある影響が考えられます。簡単に表すとこうです…

 

部活の練習に遅れる→部員が減る→練習内容に影響→鬼(監督)の逆鱗に触れる!!  →

 

エンドレスポール間ダッシュ!!!!!!

 

※ポール間とは外野の左右フェンス際にそびえ立つ、フェアゾーンとファールゾーンを分けている2本のポールの間のことである。このポール間の長い距離をダッシュする練習。

 

これがですねぇ地獄なんですよ…  ほんとに(汗)  血気盛んな坊主頭の集団がヘロヘロになるまでダッシュするんですから、まさに地獄絵図ですよ。

2人一組で順番に走っていき、前の組が真ん中ぐらいに行ったところで次の組がレッツゴーなんです。これを延々と監督の機嫌が直るまで続けるんです。お日様が沈もうがカラスが鳴こうが関係なしなんですよ。困ったもんです。

次第に延々永遠なのではないか?と思ってしまうんぐらいですよ。

なのでペナルティにだけはならないように部員みんなが注意をしていました。

そうなんです。野球はチームプレーなので、何かあると連帯責任なんです。

 

 ワケあってペナルティリーチとなっていたある日の登校中の出来事・・・

いつものように自転車で学校へと向かっていたのですが、天気が悪いわけでもないのに雲行きが怪しくなってきました。

 

『・・・カタン・・・カタン・・・カタン』

 

車輪が回る度に響く異音…  次第に落ちていくスピードと気分・・・

 

まちがいない。パンクだ!

 

そうです。自転車の生命線とも言える、ぜったいに漏れてはいけない空気がどこからか抜けはじめたのです。

 

僕『やべぇ。既に家から15分ぐらいの距離まで来てしまっている!中途半端だ!!』

 

この一大事にふと脳裏をよぎったのは、あのポール間でした。

 

僕『遅刻はマズイよ…  監督にバレたら間違いなくヤバいよ…  と言うよりも監督が担任だし!!歩いて行っても間に合わないし…  どうしよ……』

 

歩いて行くという選択肢がなくなってしまいピンチのどん底の中、残された空気を頼りにとりあえず進むことにしたのでした。

 

『カタン・カタン・カタン・カタカタン♪』

徐々に早くなるカタンのリズム高鳴る鼓動・・・

残された空気の寿命は時間の問題でした。

そして立ちこぎを諦めて歩きはじめました。

 

いつもは速いスピードで通り抜ける道を、遅いスピードで歩くとは思ってもいなかった。誰か声をかけてくれないだろうか…と思うが、まだ朝も早いし世の中は通勤ラッシュの時間帯だっただろう、そんな神は訪れてはくれません。

遅刻でも仕方がないが、とにかく学校へと進もうと思っていた時のことでした・・・

 


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『あっ!そういえば、ここに自転車屋さんがあったんだった!でもパンク修理しても間に合うか微妙だなぁ』

運良く、近くに少し古びた自転車屋さんがあることに気付きました。が、まだ朝です。営業しているはずもありませんでした。

外から覗いて見るが、人の気配もありませんでした。それでも扉を開けてみることにしました。

 

僕『ガラガラガラ…  すみませーん』

 

おじさん『はい…○※△。朝早くからどうしたの?』

今、起きたばかりと見られる寝グセがバリバリで半目のおじさんが出てきてくれました。

 

僕『すみません。パンクしちゃって・・・』

 

おじさん『うん?どれどれ、見せてみて』

 

まだ営業時間でもないし、起きたばかりという状況であるのにも関わらず、すぐに修理を始めてくれました。

時間は間に合うかわからないけど、とりあえず歩いて学校まで行かなくて済むことに少しホッとしたのでした。

ムリを言って修理していただいているので、"急いでいるんです!"なんて言えるはずもなかったのですが、手際よく作業を進めてくれました。

作業が進むにつれて"時間"よりも気になることがありました。

 

パンク修理っていくらなんだろか。お金足りるかなぁ?

当時はまだ高校生でしたので、昼休みに買うパン代やジュース代ぐらいのお金しか持っていませんでしたので、修理代を払えるかどうかがとても心配になってきました。

 

おじさん『よしっ!これでしばらくは大丈夫だと思うよ』

僕『ありがとうございます!助かりました。 あのぅ、お金っていくらですか?』

 

おじさん『いいよ』

 

僕『えっ・・・』

 

おじさんの素早いパンク修理のおかげで、遅刻間際に学校へと着くことが出来たのでした。

 

多分ですが、僕が時間を気にしていることやお金を心配していたことをおじさんはわかっていたのだと思います。

困って、ピンチの状況に追い込まれた時だからこそ感じられる人の優しさ。

世の中には見えてこないけれど埋もれてしまっているシーンが数多くあると思います。

 

"お金いらないよ"と言われてしまったのですが、何かしらのお礼はしたいと思っていたのでお店の近くを通る度におじさんのことが気になっていました。

でも照れくさくて、お店の前には行けなかったんです。そして今に至ります。

おじさんからいただいた優しさは返すものではなくて、自分も困っている人がいたら助けてあげる…

そんな人でありたいと思った、昔の良き思い出でした。