『IWABLO』

どんっ!と構える岩のように

花火のように儚く散った日だった。


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こんばんは。 

今日は花火大会へ行く為に、夕方頃から妻の在所の方へと出かけていきました。

 

思い出されるのは、ちょうど1年前のこと。

 

花火大会ということもあり、町のお店通りには所狭しとたくさんの出店が出ておりました。

その数ある出店の中に、どこか見覚えのあるシルバーの屋台のラーメン屋が来ていました。

「ひょっとするとあれは・・・」

 

それは10年以上前に、当時住んでいた団地に売りに来ていた"移動式ラーメン屋台"で、60歳前後のおじさんが切り盛りしていました。

 

昼間はお店で働き、水曜日の夜になると僕の住む団地の方へと回って来ていました。

 

よく同級生とラーメン丼を片手に、習字教室の前で屋台が来るのを待っていたことを思い出します。

 

月1ぐらいで仲間達と集まり、ラーメンを食べながら語り合ったりしていましたがある日を境におじさんが来ることがなくなってしまいました。  

 

儲からなくなったのか?

それとも高齢により辞めてしまったのか?

ただ、うちの団地まで回らなくなってしまっただけなのか?

 

真相がわからないまま時だけが過ぎていきました。

いつしか地元の仲間達とも集まることはなくなってしまい、ラーメン屋台やおじさんのこともすっかり忘れてしまっていました。

 

まさか妻の在所の花火大会で再会できるなんてね… びっくりしたよ。

しかもまだ現役だったんだ… 

 

久しぶりにおじさんのラーメンを食べたいな。作るところをみたいな。

そして味はいつもの味噌で…

 

そんな想いで、屋台の横からじっと見ていました。 

おじさんは当時とあまり変わらない風貌でテキパキとラーメンを作っていました。

「ほんと懐かしいなぁ~」

 

「少しだけ昔のことを話してみたいな。覚えていてくれてるだろうか。」

 

屋台には花火直前にもかかわらず10人程の行列が出来ていて、2歳の息子を待たせることも出来なかったため、残念だけれど諦めることにしました。

 

「来年もおじさんはきっと来てくれるよね… 絶対来年は並んでもラーメン食べるからさ」

 

そんな想いで一年後の今日の花火大会を迎えました。

 

今年も少し大きくなった息子を連れて出店通りを歩いていきました。

その途中で花火大会が始まりましたが、今年は花火どころではなかった。

 

「今年は花火がメーンではないからな」

 

あの頃の懐かしい思い出を巡るために、人混みを掻き分けて進みました。

 

長い出店通りを見逃さないようにと、歩いていくが中々ラーメン屋台が見つからないため、次第に不安になってきました。

 

そして、去年出店していた場所へと着きました。

 

だがそこにおじさんの姿はなかった。

 

それでも諦めずに出店通りを進みました。

 

結局、ラーメン屋台は来ていませんでした。

 

なんだか切ない…

 

あの時に行列に並んでおけばよかったな…

一言でも会話したかったな…

 

何事も後回しにしてしまうと良い結果にはならないんだと気付かされた。

 

悔しいがそんな1日だった。

 

さすがにおじさんももう70歳ぐらいだろうし引退してるだろうな。

 

それでも、もう一度だけおじさんのラーメンを食べたい。

どこかでラーメンを作っていてくれると願いたい。 

そうでないと切ない気分が晴れることはない。

 

 

来年も花火大会に行きます。

 

おじさん「何味にする?」

 

僕「いつもの味噌で(^-^)」

 

この会話を交わすために。