少し前のことだが初めてパーマをかけてみた。
若かりし頃から短髪オンリーでセルフカットすることが多かったが何となく決めた。
まぁ俗に言うイメチェンってやつ。
そもそも美容院や床屋などのマンツーマンで一つの目標に向かうのが大の苦手である。どのようにしたいかを告げるのは仕方ないが、その後の間埋めトークがたまらなく好きではない。
そして、お金を払ってまでなぜ目の前の自分と見つめ合わなければいけないのか?
『老けたな‥ あ シミ増えてるやん?』
知らぬが仏なことが多い世の中である。
そんな不慣れで若干緊張気味の中年が有給休みに美容院へ行くことにした。
スタイリストさんに案内されてチェアに着いた。
さっそく驚いた。シャンプーは別のスタイリストさん。
そして軽く頭皮マッサージも施術していただいた。
『何これ。有給使ってシャンプー最高やん』
その後は初回限定の無料肩マッサージもサービスしていただいて気を抜いたら幽体離脱するとこだった。
そしてパーマの時間である。
ヘアゴムでいくつも束ねられて剣山みたいになったところで液をまんべんなく振りかけられた。
このご時世マスクをしているが時折不織布を突き抜ける刺激臭がとても心地よい。
待ち時間にと雑誌を読むことにする。
ここか快活クラブ(満喫)でぐらいしか読むことはない地域雑誌で情報収集。妙にいちご狩りに行きたくなる。
そしてラーメン特集に腹を鳴らす。
そうこうしているうちに時が来て、私はちょっぴりチャラくなった。スタイリストさんとのトークに華が咲かなかったのは申し訳なく感じた。
だが一つだけ疑問点が浮かんだのだ。
"パーマはどれぐらいもつものなのか?"
普通にカットするのに比べて約2.5倍もの費用を掛けたのだ。すぐに戻ってしまっては残念でならない。
『パーマってどれぐらいもつんですか?』
髪はチリってるがストレートに質問してみた。
『2ヶ月ぐらいですかね‥伸ばせばすぐ戻りますけど』
セットの仕方やドライヤーでの乾かし方などを教えていただき、私は頑張ってキープし続けようと心に誓った。
少し気分も変わり、美容院での貴重な時間も終わりかと思ったときだった。
『クセ毛なので長持ちすると思いますよ。もし1週間以内に解けてしまったら保証しますので連絡してくださいね』
クセ毛だから長持ち。喜んでいいのか何とも言えない気分になったのであった。
ただ寝癖も気にならなくなったのでしばらく続けてみようと思う。