『IWABLO』

どんっ!と構える岩のように

おしっこちょっぴり どころか がっつりもれ太郎になりそうだったときの話

※これはワタシがまだ22才ぐらいであり、お肌がツヤツヤしていたであろう頃のことである。

 

忘れもしないちょうど春爛漫の頃。桜が舞う季節であった。

成人してからはじめての同窓会に参加することとなり大人になった旧友たちと食事をする機会があったのですが その時に

 

『女の子を紹介してあげようか?』

と、とくに仲がよかったワケでもない女の子からお誘いを受けて 後日会ってみることにしたんです。

ちょうど彼女がいなかったワタシには棚からぼた餅。千載一遇。心オドル アンコール沸かす スタン スタン スタン レディゴォー! な気分だった。

いきなり2人で会うのは気まずいということで 言い出しっぺも参加して3人で喫茶店に入りました。

 

 

や…やっべーなぁ…… (恥ずぅ)

 

ワタシは驚きました。

紹介された子がすんげーかわいいじゃないですか。こんな事言っては罰当たりかも知れませんが 言い出しっぺの女の子が妖怪ウォッチみたいなので その知り合いの方も・・・

と 勝手に決めつけていまして 正直あまり期待していなかったのです。

 

『ど真ん中 どストライク バキューーン🖤』

でした。あえて例えるならば大谷ショーヘーくんの剛球をコメカミ倶楽部にクリティカルヒットさせてしまいひとり悶絶しているかのような キラキラとした一瞬。

例えば~ キミがいるだ~けで心が 強くなれること… とはこの事である。

なんかもぉ~ とにかくドキドキするのよ…

目もロクに合わせられない。

なんて純粋なワタピ。

とりあえず 普段は甘めのカフェオレ人生街道真っしぐらなクセに さりげなくカッコつける為にBLACK coffeeをチョイス。

もちろんコーヒーの味も定かではないほど緊張していたので お冷やをチョイスするのが最善だったであろう。

ただ 初対面からいきなり『お冷やくらさーい』 と言うには 中々の度胸が必要である。いや 初対面でなくても難易度が高いウルトラG級の技だ。これは発案者の名前が技名となる可能性が高いのだと 体操のシライさんから学んだ。なので 必然と“初対面からお冷やを頼む技”は おーふぁ と特許申請しようか悩みどころである。いや 書類が面倒そうなのでやめておこう。

そんな無駄話をしている最中も喫茶店でのドキドキタイムは進む。

二人は職場が同じということで そのようなことを話している。当然のことながら なかなか会話に入り込むことが出来ない。しばらく緊張ガチガチ大仏様と化していたことだろう。

残念なことに10年以上前のこともあり どのような会話を交わしたのかは 一切覚えていない。

ただ その後 いきなり妖怪ウォッチはドロンしまして 二人っきりのドライブデートが幕を開けたのでした。

唸るエンジン。高鳴る鼓動。膨らみ続け 破裂寸前まで膨らんだ妄想。

ドキドキが止まらない… いや ロマンティックが… ハアっ とまらなぁ~い。

でも 河原でキャッチボールしたり ラーメン屋行ったり で とにかく楽しかった。

『またね 、あっ よかったら番号教えてくれる』

それから何度かデートした。

夜中に急に電話がかかってきて

『ちょっと声が聞きたかったんだ』って鬼アツ胸キュンなこともあったりした。嫌なことがあって夜中なのに電話してくるなんて… 

今となっては そこがこの恋一番の押しどころだったのかもしれない。ちなみに『この紋所が目に…』は水戸黄門。

 

そして 最後のデートになるとは思ってもいなかったが 定番中の定番である映画を観に行くことに。

その子が観たいと言ったコメディ系の邦画。

ここで 皆さんにひとつだけ問いたいのだが

 

映画の上映中にトイレに行きますか?

もしくは 行けますか?問題である。

映画って始まると2~3時間 休憩なしのノンストップが普通じゃないですか?(最近の映画事情は知らんけど)

調子ノっちゃって 席真ん中ぐらいに座っちゃうと横の列に座ってる人たちに

『すんません すんません すんません』

って連呼しながらぺこぺこしながら 申し訳なさそうにトイレに向かわないと行けないじゃないですか。(最近の映画館の席事情は知らんけど)

そんなのめちゃカッコ悪いし 好意を持ってる子の前で出来ないじゃない。

『なんで 上映前に トイレ行っとかないの。そんなの大人のマナーでしょ?』って思われて恋人にしたくないランキングを駆け上がるのは避けたいですよね。

だから ワタシ…  栓を意地でも閉める決断をしました。

『あはは アハハ』

隣で笑う素敵な笑顔。それに答えるは ひきつった顔の仙人の境地の漢。

もう 映画の内容なんて 知ったこっちゃない。

映画を観に来たのに 映画どころではないのである。本末転倒甚だしいったりゃありゃしない。

こんな時の ジャパニーズコメディは一番体に良くない。笑うことは間違いなく体に良いが 笑うと少し栓が緩むのである。

気の緩み = 栓の緩み。油断大敵。これがホントの“笑ってはいけない” である

ここだけの話 ちょろチョロンと滴が溢れてしまっていたかもしれない。

春の木漏れ日 ならぬ 小漏れ日 となった。

 

その後 映画館での死闘を終えた修行僧(ワタシ)は がっつり漏らすことなく 規定のトイレットで放出することが出来ました。

 

その後 映画だけではなく その子の気持ちどころではなく “ただ漏らしたくはない”ことで頭がいっぱいだったワタシは 

 

『ごめんなさい。彼氏が出来ました。もう会えません。』

 

と フラれました。

そのメールが届いたときは仕事の昼休憩中。

外で眺めた 桜の花びらは いつもよりも儚く舞っているような気がした。

 

忘れかけた記憶 と キミの声。

思い出は ずっと あの頃のまま輝いていてほしい。

 

いやっ こんな苦しい思い出は早く忘れさせてくれ。

 

おしっこちょっぴりもれたろう

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